2020年8月17日:BS朝日【バトンタッチ SDGsはじめてます】

画像イメージ1

ナレーション:
SDGsって知ってますか?それはみんなで目指す10年後の地球の形。今、私達が共通して抱える問題を、誰一人取り残すことなく、誰も犠牲にすることなく、皆で解決するための持続可能な開発目標。日本でも、もう始めている人がいます。

LORANS.代表 福寿満希(以下 福寿):
「一人の人として接するという意味で区別をせず」

画像イメージ2

ナレーション:
そんな先輩たちからバトンを受け取って、皆さんに伝えたい届けたい。若い世代がSDGsの今を体験、バトンタッチSDGsはじめてます。

画像イメージ3

ナビゲーター 谷原章介(以下 ナビゲーター):
色とりどりの花に囲まれ、美味しいサンドイッチをいただく。女性だけでなく、私たち男性にとっても幸せな時間。そんな素敵なカフェが東京原宿にあります。そのお店を支えているのは病気や障がいをもつ人達。『SDGs始めてます』誰もが笑顔で働き、生きがいを感じられる職場を作りたい。そんな思いを実現したカフェから、バトンタッチ。

画像イメージ4

ナレーション:
原宿駅のすぐ近く、花屋さんが経営するカフェ、ローランズ。人気のメニューは、、これこれ!カラフルなオープンサンドにバラのスムージー!インスタ女子たちに人気のお店。

画像イメージ27

このカフェとSDGsの関係、それが。

画像イメージ5

福寿:
「従業員は60名くらいおりまして45人前後が障がいや難病と向き合い働いている。」

ナレーション:
障がいがあっても働きたい。働ける。

スタッフ:
「楽しいです」「(障がいを)ほとんど忘れている」「ここで働くことが生きがい」

画像イメージ8

ナレーション:
皆さん、仕事に前向き。
今回は、障がい者と健常者が共に働ける社会を目指す女性からバトンを受け取ります。

画像イメージ6

フラワーカフェ ローランズ 代表、福寿満希さん。従業員の多くに障がいや難病があります。障がい者が様々な仕事にチャレンジできる社会を作りたい。そんな思いから原宿にローランズをオープンしました。

画像イメージ7

福寿:
「障がいがあっても私たちと同じように働くことが出来て、『働く上での障がい』は無くしていけるんだということを知ってもらえたら嬉しいと思います」

ナレーション:
バトンを受け取るのは、高校1年の奥森皐月さん。SDGsを考える団体で、学生にできることを実践してきました。
最近は洋服のリユース、知り合い同士で譲り合ったり。

奥森:
「私は障がい者雇用みたいなところは詳しくなくて、簡単でみんなで同じような作業をするっていうお仕事が多いんだろうなという風にイメージしているので、また働く環境がどういう風になってるかっていうのはすごい楽しみにしています。」
「ここですかね、植物がいっぱいのところなんですね!こんにちは。」
「わーすごい!お花いっぱい!!」

福寿:
「こんにちは初めまして。ローランズの福寿と申します。」

奥森:
「奥森皐月です。よろしくお願いします。」

福寿・奥森:
「よろしくお願いします。」

画像イメージ28

奥森:
「ここってどんなお店なんですか?」

福寿:
「ここはお花屋さんが運営しているカフェになります。一緒に働いているスタッフの7割が障がい当事者です。」

奥森:
「7割もいらっしゃるんですか」

ナレーション:
カフェのほかにも、お花の販売や広報など、一日におよそ20人が勤務。働き方はアルバイトや正社員など様々。

では皆さんのお仕事を拝見。

画像イメージ9

【ローランズの働き方】自分たちで工夫してやり遂げる。

キッチンとホール担当の加納さん。中学の頃から摂食障がいで入退院を繰り返していました。

画像イメージ10

オープンサンド作り!早速工夫が。あらかじめパンに合わせて凍らせておいた苺を載せる。

加納:
「これも工夫ですねみんなの」

ナレーション:
苺を並べる時間をカット!さらに!

奥森:
「こっちも作業があるんですか?」

スタッフ:
「そうですね、こちらはお皿の盛り付けです」

奥森:
「おいしそう!」

ナレーション:
みんなで分担して、少しでも早くお客様に出せるよう工夫しました。

奥森:
「働きがいや、やりがいを感じるのはどういう時ですか?」

加納:
「ここでオープンサンドを作っている時とか、みんなと一緒に話しているときとか、そういうことが自分にとって。ここで働くこと自体が自分の生きがいなので、辞めないでここでずっと働き続けたいです。」

ナレーション:
自分たちで考え、働く。それが生きがいに。

同じく、キッチンとホール担当の鈴木さん。

画像イメージ11

福寿:
「彼女は軽度なんですけども発達障がいの当事者でもあって、カフェの大戦力として今、働いてくれています。」

ナレーション:
鈴木さんはコミュニケーションをとるのが苦手、一つのことに極端に集中してしまうことも。

以前の仕事はパン屋さん。馴染めなかったそう。なぜ?

鈴木:
「ちょっと辛かったなって思っていたのが、手際よくって自分と比べてレベルが違いすぎてついていけないって考えて」

奥森:
「その時と比べて、今の働いている環境って?」

鈴木:
「人見知りだった自分も、少しひと段落ついようなた。前の職場でどんな感じだったんだろうっていう辛かったことも忘れちゃうくらい」


ナレーション:
仲間に溶け込み、自分と周りを比べる事も無くなりました。

奥森:
「仲間の方、チームワークでお仕事されたりとかそういうのがすごい印象的でした。」

福寿:
「どうしても障がいの状況でとか症状が関係して働きに出れないケースもあるんですけど、もっともっとやり方次第では本人がもっと自発的に考えて、単純作業ではないお仕事の可能性はいくらでも広げられるなって思っているので、選択肢が広がるような働きかけっていうのを社会に訴えかけていきたいなっていうふうに思っています」

画像イメージ12

ナレーション:
お花コーナーで先頭に立つ高橋さんもここで仕事の才能を開花させた一人。お客さんの要望に応えます。 生まれつき骨の難病を患っています。

奥森:
「作業早いですね、テキパキしててかっこいい」

画像イメージ13

ナレーション:
高橋さんセンスいい!

でも、ここに来る前は求人に応募しても採用まで至らず連戦連敗でした。

高橋:
「ほんとただ背が低いってだけで。ずっと立ってたり体力仕事なんですけど全然問題なく。(障がいを)殆ど忘れてます。」

画像イメージ14

ナレーション:
障がい者は日本の人口のおよそ7%、900万人。
高橋さんのように能力はあっても仕事を選べない人が多く、現在企業で働く障がい者は900万人のうちの56万人ほどにとどまっています。
そんな中、ローランズは能力に合った仕事や働き方の工夫で、障がい者が7割を超えていても周りのカフェや花屋さんに負けない売り上げを達成しているんだって。

福寿:
「やっぱり働く上では、得るお金っていうのはすごく大切な事になってくるので、多く支払いができるようにたくさん仕事をもらって、でそれに合わせて働いている一人一人も働く体力をどんどんつけてもらって」

ナレーション:
人気のお店だから、ローランズの賃金が障がい者が出ているお給料の全国平均の2倍近くもあるんです。ところで皆さんは障がいっていう言葉どんな使い方してますか?福寿さんは障がい者という言い方に違和感があるといいます。

画像イメージ15

福寿:
「私の考えにはなるんですけど、障がいとはその人自身が障がいなのではなくて、その人が社会生活を行っていく上で障がいとなっていく物があるという概念、考え方なので、障がい者と言うとその人に害があるみたいな言い方になってしまうのでちょっと私はあまり好きではなくて」

ナレーション:
障がい者ではなく生活するのに障がいになるものがある人。例えば車椅子の方にとっては階段が障がいでありその人自身は障がいではありません。だから障がいを感じていない人を障がい者と呼ぶのは正しくないのでは、と福寿さんは考えています。

福寿:
「障がいがあるなし関係なく、一人の人として接するという意味で区別をせずに一緒に働いて行く、人と人として働いていくっていうのはすごく本当に心がけていることです」

ナレーション:
障がいのあるなしで区別をしない職場

画像イメージ16

石川さんは二十歳を過ぎてから精神疾患と視力の急激な低下に悩まされてきました。

画像イメージ29


石川:
「今、左が0.01右が0.02ぐらい」

ナレーション:
ちょっと暗い冷凍庫、スライスした苺がなかなか見つかりません。すると。

石川:「正さん、ストロベリーダイスが」

ナレーション:
呼ばれたのは健常者の高嶋さん。

高嶋:「いっぱいあるってよ」
石川:「見えない。あ、どうもどうも」「ありましたね(笑)」
高嶋「自分で探してください(笑)」
石川:「助けてください」
高嶋:「いつも助けてるじゃないか(笑)」
石川:「(笑)」

高嶋:「全然怒っているわけでもないし億劫にもならないですけど」「甘ったれなんで(笑)」

ナレーション:
困ったときだけちょっと手助け。高嶋さんにとって石川さんは一人前の部下、だからなんでも言えちゃう。

画像イメージ17

人を頼ることが多い石川さんですが、ローランズで石川さんにしか出来ない仕事が。
それが店先にだす看板。お客さんへのアピールに欠かせない!

画像イメージ18

高橋:
「わーすごい 上手だ」

ナレーション:
チョークで書いたひまわり夏にぴったり!
仕事を任され仲間が認めてくれる。これって最高に嬉しい!

石川:
「ここで働きたいな、長く、と思ってます。障がい者としてのレッテルとか感じることもないし、やりがいが本当にあって、自分が仕事行くのが楽しいなって感じる職場なんてそうそうないと思うんですよね。」

福寿:
「働きやすい環境ってどちらか一方が努力してできるものではなくて、働きやすい環境一緒に考えていくというか。なので当事者が健常のスタッフの働きやすさを考えることもありますし、多分本当一人だけが頑張らないっていうのはすごい大事なキーワード」

画像イメージ19

ナレーション:
更に、働きやすい職場作りのためにすごいアイデアが!
葛西久さん、配送やイベントなどの植栽を担当。ローランズに来る前の職場で転落事故に遭い記憶障がいに。

画像イメージ30

奥森:
「葛西さんはずっと植栽を担当されているんですか?」

葛西:
「いえ、以前は、一番最初はカフェから。社内転職って形で違う仕事を」

奥森:
「社内転職?」

画像イメージ20

ナレーション:
社内転職?これを使えばもっと働きやすくなる?

ナビゲーター:
「ローランズで働く7割以上の従業員は障がいや難病を持つ人々。最初は仕事に馴染めなかったり失敗を繰り返す方が多かったそうです。その時福寿さんが思いついたのがジョブチェンジ、会社の中でどんどん転職すればいいんです。」

ナレーション:
障がいや難病を持つ人だって働きたい、働ける。
そんな思いからフラワーカフェ、ローランズを始めた福寿さん。

これがきっかけとなった大切なもの。福寿さんは大学生の時、障がいのある子供たちの学校、特別支援学校で教育実習を経験しました。

画像イメージ21

障がいや難病を持つ子どもたちから贈られた寄せ書き。単位を取るついでにと軽い気持ちで特別支援学校に。でもそれが福寿さんの未来を変えました。

福寿:
「ありがとうという言葉を、5分とかかけて一生懸命伝えてくれる。一生懸命さにすごい心打たれて、二十歳になれるかどうかわからないっていう子供達もいたりしたので。」
「それでもやっぱり働く夢はみんな、パイロットになりたいとかお医者さんになりたいとかいっばい夢を持っていてこういうこう頑張って一生懸命な子供達の働く夢を叶えられる、そんな社会が作れたらとか何か自分に出来ることないかなっていうのをすごい感じた瞬間のものなので」

ナレーション:
出会った子供達の働きたいを叶えたい、福寿さんは一人で会社を設立。その後障がい者雇用のモデル事業を支援する日本財団と共同で原宿にローランズをオープン。障がいのある方を多く採用、今では45人もの人が働く夢を叶えています。

画像イメージ22

画像イメージ23

障がいのあるなしに関係なくみんながイキイキと働けるローランズ。その秘密はジョブチェンジ、どういうこと?

葛西さんは前の職場で作業中に事故に遭い記憶障がいに。だから翌日の仕事を忘れてしまう事も。そんな時は健常者とスケジュールを確認、おかげでミスはほぼゼロ。以前はカフェ担当でしたが今は配送や植栽の仕事。体力を活かせるのでより働きがいが。

画像イメージ24

葛西:「社内転職って形で違う仕事を」
奥森:「社内で転職することができるんですか」
葛西:「そうですね」

福寿:
「ローランズの中には10個のチームがありまして、もし一つの場所で業務がどうしても合わなかったりとか、そういった事があった場合は全部で9回ジョブチェンジのチャンスがある」

ナレーション:
そのために仕事の種類を増やしてきました。現在カフェやお花も含め全部で10の部署にまで成長しています。

画像イメージ25

つまり9回社内転職ができちゃう仕組み。得意な仕事、やりがいのある部署が見つかればずっとそこで働くことができる。
障がいや難病があっても働く喜びは必ず見つけられる。才能が集まれば不可能を可能にできる。

福寿:
「仕事は、一人の人をヒーローにもスーパーマンにも変えてくれて、なので色んな仕事の選択肢をカラフルに作っていけたらいいなっていうのが思っています。」

奥森:
「働きたいって気持ちは、障がいがあったりなかったりそれをもう関係なく皆平等にあるもので。でもそうなるには周りの人の協力っていうものが必要で私たちも日頃からこの障がい者の雇用について考えたり、それを受け入れる気持ちを持って生きることを心がけたいという風に思いました。」

ナビゲーター:
「7年前福寿さんがたった一人で始めたフラワーショップ。今では多くの人達の働く喜びが咲き誇っていました。障がいがあるから働けない、病気だから仕事が出来ない、そんな私たちの思い込みを取り払えばもっとカラフルで幸せな職場が生まれるはずです。さああなたはどんなバトンを受け取りましたか」

画像イメージ26